大別当城
岡山県勝田郡奈義町高円

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中国自動車道へ乗り継いで「津山IC]で降りてから、国道53号線を鳥取方面へ走ります。 奈義町に入り「那岐山菩提寺登山口」の標識を北へ曲がり、しばらく行くと「山の駅」、そして「蛇淵の滝」があります。

この滝の駐車場から自動車道をそのまま300mほど入ると「大別当山展望台」の標識があります。 ここ標高584m(比高230m)の山頂には、大別当城(だいべっとう)があります。

滝の流れに誘われて再び訪れた城跡は、遠き想いを木葉の陽炎に映しているのです。

 
  「本丸跡の鬼子母神(きしもじん)」

大別当城は大見丈城(おおみじょう)ともいわれ、美作地方の代表的な山として知られる那岐山(標高1240m)の支脈で「奈義八景」の一つです。

この鬼子母神は子育ての神様だそうです。
 

 
美作管家の始祖は、菅原道真から七代目・菅原知頼とされ、その曾孫・仲頼がここ大別当城の城主でした。

仲頼の三男・満佐は、この地方に伝わる「三穂太郎」伝説の主人公で、その七人の子が有元・広戸・福光・植月・原田・鷹取・江見の美作管家七流に分かれました。 そして有元忠勝が大別当城主、広戸佐友が矢櫃城主、植月公興が宮山城主、原田忠門が稲荷山城主などになっているのです。

元弘三年(1333)、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒すために挙兵、しかし失敗し隠岐に流されました。 この時、播磨の赤松円心が苔縄城(赤穂郡上郡町)で兵を挙げ京を攻めたのです。  有元佐弘は弟佐光・佐吉をはじめ菅家一族と参戦し、幕府の北条軍と京都の猪隈で戦うのですが、有元三兄弟、福光・原田らは討ち死にをするのです。

隠岐を脱出し京に帰った後醍醐天皇は「建武の新政」をうち立てたものの、足利尊氏の離反によって崩壊し、天皇方と尊氏とは敵対するようになりました。 そして赤松円心も尊氏と結び、これに管家党も従うのです。

尊氏が天皇方に追われ九州に落ちた時、新田義貞は尊氏の巻き返しに備えて中国平定に出陣し、ここ美作には新田氏の部将・江田兵部大輔が大別当城の管家党を攻めました。 しかし新田軍の撤退により有元氏は回復し、再び有元佐顕が入るのです。

その頃、美作では赤松氏と山名氏の間で争いが幾度も行われていました。 康安元年(1361)、尊氏と子で弟直義の養子になった直冬との戦い「観応の擾乱(じょうらん)」で直義方についた山名時氏は、山陰に攻め込み、美作の赤松氏に属していた篠向城、小原城、大野城、林野城、妙見城など次々と攻め、この大別当城も落ちるのです。

のちの有元氏は、出雲の尼子氏が美作に侵攻してきた時にはこれと戦い、さらに三星城主・後藤勝基が備前の宇喜多氏に攻撃された時も援軍を送っています。 そして三星城が落城した後は、宇喜多氏の傘下に入り、関ケ原の戦いをへて、津山城主・森忠政が美作に入った頃、有元氏はこの一帯の大庄屋になったといわれています。

『参考文献を参照』

 

  
大別当山展望の登山口
  「大別当山展望の登山口」

この自動車道を左へ走ると登山口、そのまま行くと天然記念物 大銀杏(おおいちょう)で知られる菩提寺があります。
 
顔、うつよ
 

「顔、うつよ」

登山口から最初は急な階段、まもなくハイキング道です。 途中、道の横に曲輪跡や堀切がありますよ。

闇にまぎれた忍びの者、何回も顔を打ったんやろうね。 痛そう。

帰りに向こうから見て、何か黒い生き物がいるとびっくり。 そんな自分も情けない。

 

  
本丸跡
  「本丸跡」

展望台です。 さすが標高584mの眺めはすばらしい。

年配の方が二人、じっと遠くの山を見つめていたよ。

なにやら赤い実を採って口に入れていた。
 「子供の頃、よく食べたね」

杖をなでながら、また遠くを見つめていた。
 
石積み
  本丸には四角い石積みがあります。

医王山城でメモリを失くして、ここは2回目。 どこに何があるかは完璧だよ。

二人、まだ遠くを見つめているよ。 子供の頃を語っているのかな。
 

  
木葉の陽炎
  「木葉の陽炎」

菅原道真の子孫を名乗る男が菩提寺で女と出会い、太郎丸という名の男児をもうけました。

女は乳をやるときだけは部屋をのぞかぬように約束したのに、男は見てしまいました。 そこには大蛇がいたのです。

大蛇は約束を破った恨みで、八巻山に消えてしまいました。 男は大蛇と再会し、太郎が乳をほしがると、大蛇は五色の珠を差し出し滝の淵に消えてしまいました。
 
蛇淵の滝へ
  「蛇淵の滝へ」

太郎は五色珠の霊力でぐんぐん成長し、雲も突き抜けるほどの巨人になり、そして三歩で京まで行けたので「三歩太郎」と呼ばれたのです。
 

  
日本原高原の山
 

「日本原高原の山」

登山口から西に見えた山です。

ズボンのスネにツギをあて、ポケットに「どんぐり」いっぱい入れて遊んだ幼き頃。

いつかはどこかの城跡で、遠く昔を見つめる自分があるだろうか。

 

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