宇治十帖(二) 椎本(しいがもと)
京都府宇治市宇治乙方  彼方神社(おちかた)
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  春、花の頃、匂宮(におうのみや)は、初瀬詣の帰路、宇治の夕霧の山荘に中宿りし、お迎えの薫君(かおるのきみ)やお供の貴族たちと音楽に興じました。

楽の音は対岸の八宮の邸にもよく通い、八宮は都にいられた昔を偲ばれました。

薫君から二人の姫君のことを聞き、ゆかしく思っていた匂宮は、宇治に消息を送りますが、返事はいつも妹の中君がなさるのでした。
  
  薫君は八宮を仏道の師と仰いで、宇治を訪れ、姉の大君に強く心をひかれていくのです。

八宮は死期の近いことを感じ、姫君たちに身の処し方について遺言し、信頼している薫君に姫君を頼み、秋も深いころ、阿闍梨(あざり)の山寺で、さみしく静かに波乱の生涯を閉じられました。

『現地案内を参照』
  
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